採用担当者がいない中小企業が最初にやるべき3つのこと

「採用担当者、うちにはいないんですよね」

採用について相談を受けると、こんな声をよく聞きます。

「求人を出したほうがいいのは分かっている。でも、誰がやるの?という感じで……」

社長や店長が現場に立ちながら、経理も、シフトも、仕入れも、そして採用もすべて兼任している。そんな会社は、決して珍しくありません。

採用担当者がいないことは、恥ずかしいことでも、特別なことでもありません。でも、「何もしないまま」でいると、人手不足はじわじわ深刻になっていきます。

この記事では、専任の採用担当者がいない会社が「最初に整えるべきこと」をやさしく解説します。特別な知識がなくても、今日から動き出せる内容です。

目次

■ この記事の結論

採用担当者がいなくても、「誰が・何を・どう動くか」を決めるだけで採用は動き出します。最初にやるべきことは、以下の3STEPです。

  1. 採用の責任者を決める
  2. 自社の採用条件を整理する
  3. 求人を出す場所を1つ選ぶ

の3ステップです。難しいツールも、大きな予算も、いきなりは必要ありません。

そもそも「採用担当者」がいないと何が困るのか

採用担当者とは何をする人?

採用担当者とは、求人票の作成・応募者への連絡・面接の調整・入社後のフォローなど、人を採るための一連の作業を担う人のことです。

大企業では専門の人事部門がこれをやりますが、中小企業や個人事業主の場合、多くは社長や店長が「ついでに」やっていることがほとんどです。

担当者がいないと起きがちな問題

担当者が決まっていないと、こんなことが起きやすくなります。

  • 求人を出したまま、応募者への返信が遅れてしまう
  • 「誰が面接するか」が直前まで決まらない
  • 採用活動が属人的になり、やり方がバラバラになる
  • 採用に割く時間が確保できず、後回しになり続ける

どれも「担当者がいないから仕方ない」で済ませがちですが、応募者から見ると「この会社、大丈夫かな」という印象を与えてしまうこともあります。

採用は、会社の「顔」でもあります。整っていない採用体制は、求職者に不安を与えてしまうのです。

採用担当者がいない会社がやりがちな失敗3つ

「誰かが気づいたらやる」体制になっている

採用は、「困ったら動く」では遅いことが多いです。人が辞めてから慌てて求人を出しても、人が集まるまでには時間がかかります。

「困ってから探す」ではなく、「困る前に動き出せる仕組みを作る」ことが、採用担当者がいない会社には特に大切です。

求人票を「とりあえず」で出している

「給与・勤務時間・仕事内容を書いて、ハローワークに出した」という会社は多いです。でも、それだけでは応募が来ないことがほとんどです。

求職者は求人票を見るとき、「どんな職場なのか」「自分に合っているのか」を確認しています。最低限の情報しかない求人票は、素通りされやすいのです。

求人票の書き方については、こちらの記事で解説しています。

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採用方法を「変えたことがない」

「ずっとハローワークを使っているけど、なかなか来ない」という声もよく聞きます。

応募者が集まる場所は、業種・職種・年齢層によって違います。「今の方法で来ないなら、別の方法を試す」という発想の切り替えが必要です。でも、担当者がいないと、そもそも見直す余裕がない、というのが現実でしょう。

だからこそ、「最低限ここだけ整える」という最初の土台が重要になります。

採用担当者がいない会社が最初にやるべきこと

「採用の責任者」を1人だけ決める——誰を選べばいいのか?

採用の責任者を決めましょう、と言うと「でも、うちには向いている人がいなくて……」という声が返ってくることがよくあります。

専門知識は、最初はいりません。採用担当に必要なのは「資格」ではなく「役割を引き受ける意思」です。では、実際には誰が担当になれば良いのでしょうか。

選び方の基本的な考え方:「採用に関わる3つの作業」を誰がやるかを決める

採用担当者の仕事は、大きく3つです。

  1. 連絡窓口:応募者からの問い合わせや書類を受け取り、返信する
  2. 日程調整:面接の日時を決め、応募者と社内の関係者に連絡する
  3. 情報の管理:応募状況(誰がいつ応募したか・結果はどうか)をまとめておく

この3つを一人がすべてやる必要はありません。でも「誰がやるか決まっていない」状態が一番まずいので、まずは一人に束ねることを目指します。

人員が少ない会社での現実的な選び方

候補向いている状況注意点
社長・オーナー自身スタッフが2〜3名以下、または採用頻度が低い場合現場と兼任で疲弊しやすい。判断が最終的に自分に集中するため、面接はむしろ向いている
事務・管理系スタッフ電話・メール対応に慣れている人がいる場合採用の「判断」(合否)は社長が担い、「事務作業」だけ任せる分担が現実的
現場リーダー・古参スタッフ職人仕事・現場仕事の採用で「仕事内容を説明できる人」が必要な場合採用担当としての自覚を持ってもらうために、役割を明文化することが大切

「判断する人」と「動く人」を分けると無理がなくなる

専任担当者がいない会社では、全部を一人に任せようとするとすぐに限界が来ます。そこでおすすめなのが、「採用の判断(合否・条件提示)は社長」「採用の事務作業(連絡・調整・書類管理)は別のスタッフ」という分担です。

たとえばこんな形です。

  • 応募者からメールが届く → 事務スタッフが定型文で受領の返信をする
  • 面接の日程調整 → 事務スタッフが社長のカレンダーを見て候補日を提示する
  • 面接 → 社長が出席して話す
  • 合否の連絡 → 社長が判断し、事務スタッフが連絡文を送る

このように分けると、社長の負担を「面接と判断」だけに絞ることができます。

「向いている人」よりも「巻き込める人」を選ぶ

採用担当として理想的なのは、「人と話すのが苦じゃない」「連絡を後回しにしない」「メモや記録をつける習慣がある」人です。ただし、これはあくまで理想です。

現実には「消去法で一番向いていそうな人」で構いません。大切なのは、担当を決めたら「なぜあなたに頼んだか」「何をやってほしいか」を明確に伝えることです。曖昧なまま押しつけると、担当者が動けずに止まってしまいます。

担当者に伝えておくべき最低限の3点

採用担当を決めたら、最初に以下の3点を口頭でもいいので共有してください。

  1. 役割の範囲:「応募者への最初の返信と、面接の日程調整をお願いしたい」
  2. 判断の境界線:「合否の判断は自分(社長)がやる。迷ったら必ず相談して」
  3. 連絡のルール:「応募があったら、その日のうちに自分にも一言教えてほしい」

この3点があるだけで、担当者は「自分が何をすればいいか」が分かります。採用が止まらなくなります。

「採用条件」を紙1枚に書き出す

次にやることは、自社の採用条件を整理することです。難しいことは不要です。以下の項目を箇条書きにするだけで構いません。

  • 採用したい職種と人数
  • 勤務時間・曜日・休日
  • 給与の範囲(時給・月給)
  • 仕事内容(入社後に最初にやること)
  • どんな人に来てほしいか(必須条件と歓迎条件)
  • いつまでに採用したいか

これを書き出しておくと、求人票を作るときにも、面接のときにも、説明がスムーズになります。「とりあえず求人を出す」ではなく、「条件を整理してから出す」が、採用の質を上げる最初の一歩です。

求人を出す場所を「まず1つ」に絞る

採用の方法はたくさんあります。ハローワーク、求人サイト、SNS、自社HP……。でも最初から全部やろうとすると、どれも中途半端になりがちです。

担当者がいない会社こそ、「まず1つ、確実に動かす」ことが大切です。

おすすめは、

  • ハローワーク
  • 業種に合った無料・低コストの求人サービスの利用
  • 顔が見えて信頼できる相手に相談する

あたりになります。

採用体制を少しずつ整えるためのチェックリスト

以下の項目を確認してみてください。「できていない」と感じた箇所が、次に取り組む優先ポイントです。

チェック項目できている?
採用の責任者(窓口)が決まっているはい/いいえ
採用条件(職種・給与・勤務時間等)が書き出されているはい/いいえ
求人を出す場所が1つ以上決まっているはい/いいえ
応募が来たときの返信ルール(いつまでに・誰が)があるはい/いいえ
面接の担当者と日程の決め方が決まっているはい/いいえ
求人票に「職場の雰囲気」や「仕事の流れ」が書かれているはい/いいえ

「いいえ」が3つ以上ある場合は、採用の土台がまだ整っていない状態です。でも、逆に言えば「今から整えれば、すぐに動き出せる」ということでもあります。

よくある質問(FAQ)

採用担当者を新たに雇わないといけませんか?

必ずしもそうではありません。まずは既存のスタッフ(または社長自身)が「採用の窓口役」を担うだけで十分です。「求人票を作る・応募者に連絡する・面接の日程を決める」という3つの役割さえ担当者が決まっていれば、採用は動き出します。

事業が成長して採用頻度が上がってきたタイミングで、専任を検討するのが現実的な順序です。

ハローワークと求人サイト、どちらから始めればいいですか?

費用をかけずに始めるならハローワークが第一選択です。無料で求人票を掲載でき、全国に窓口があります。ただし、若い年齢層への露出は求人サイトのほうが高いことが多いです。

まずハローワークで試してみて、応募が来なければ業種に合った求人サービスを追加するという順番がやりやすいです。

求人を出しても応募がゼロです。何が問題でしょうか?

原因は大きく2つです。①求人票に情報が少なすぎる、②求人を出している場所が応募者の目に触れていない、のどちらかがほとんどです。

まず求人票を見直し、仕事内容・職場の雰囲気・給与の内訳などをもう少し具体的に書き加えてみてください。それでも変わらなければ、媒体の変更を検討するタイミングです。

面接のやり方が分かりません。何を聞けばいいですか?

採用面接で最低限確認したいのは、「この仕事をやりたい理由」「これまでの経験」「勤務条件(曜日・時間)の確認」「質問はあるか」の4点です。難しい質問は必要ありません。

それよりも、「この人と一緒に働けそうか」という感覚を大切にしながら、率直に話せる雰囲気を作ることのほうが重要です。

採用活動にかかる費用の目安はどのくらいですか?

ハローワークへの掲載は無料です。求人サイトは媒体によって無料のものから数万円/月のものまで幅があります。採用サイトを自社で作る場合は制作費がかかりますが、作ってしまえば繰り返し使えます。「まずコストをかけずに始めて、効果が出てきたら投資する」という順番が、中小企業には合っています。

採用を外注することはできますか?

できます。求人票の作成・媒体への掲載・応募者対応などを代行してくれるサービスがあります。社内に採用の余力がまったくない場合や、早急に人を集めたい場合は、外部のサポートを活用するのも一つの手です。

まずどこまで自社でできるかを確認したうえで、難しい部分を相談するという使い方が現実的です。

まとめ

採用担当者がいないことは、多くの中小企業にとって「当たり前の状況」です。大切なのは、その状態を「仕方ない」で放置するのではなく、「最初の土台だけ作る」という一歩を踏み出すことです。

やることは3つだけです。

  1. 採用の責任者(窓口)を1人決める
  2. 採用条件を紙1枚に書き出す
  3. 求人を出す場所を1つ選んで動き出す

この3つが揃えば、採用は動き始めます。特別な知識も、大きな予算も、最初はいりません。

採用の仕組みを整えることは、人手不足を解消するだけでなく、会社を安定させる土台になります。「いつか整えよう」ではなく、今日できる一歩から始めてみてください。

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